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社福法人、止まらぬ不適切会計 監査義務づけへ法改正…対象は一定規模のみ、実効性に疑問の声も

産経WEST 2017年5月10日 掲載記事より

社福法人、止まらぬ不適切会計 監査義務づけへ法改正…対象は一定規模のみ、実効性に疑問の声も

2017.5.10 08:23
 老人ホームや病院、保育園の運営など、市民生活に欠かせない施設を運営する社会福祉法人。その公共性ゆえに、補助金や税制上の優遇措置を受けているが、各地で不適切会計の発覚が相次ぎ、財務面の不透明さが指摘されている。4月からは一定規模以上の社福法人に公認会計士による監査を義務づけた改正社会福祉法が施行された。ただその対象は一部にとどまり、実効性には疑問の声も。一方、市場が拡大した会計士側は顧客獲得に期待感が広がっている。

改正法の適用枠外「中小の方がずさん」

 会計監査の義務づけは利用者にとっては安心材料だが、法人側にはコスト増が避けられない。

 近畿地方のある社福法人の場合、新規で契約した監査法人に払う費用は年に数百万円に上る見通し。男性理事長(69)は「上場企業の監査は投資家保護のためだが、社福法人は投資の対象ではない。財務の正確さを担保することは重要だが、監査費用に一円の補助金もないのは厳しい」と制度設計に納得いかないものを感じている。

 会計監査は一定規模以上の法人のみに義務づけられる。先の理事長は「むしろ家族経営のような中小の法人の方が会計がずさんな傾向にある」と話す。

 たとえば昨年末、幹部による約3億7千万円の着服が発覚した大阪市の社福法人の場合、改正法のもとでも会計監査の対象には入らない。第三者調査では「手口は極めて単純。残高証明や通帳を確認すれば瞬時に露見しただろう」と指摘されたが、同じような規模の法人の不正には法改正でも歯止めはかからない。

初年度対象はわずか1%…厚労省「全法人義務づけは非現実的」

 制度導入を答申した厚生労働省の審議会でも、法人の適用範囲をどこまで広げるかが主な論点になった。

 最終的には平成29、30年度は収益30億円超または負債60億円超の法人を対象とし、その後33年度まで段階的に対象を広げていくことで決着した。

 ただ初年度の対象になるのは全国約2万法人のうちわずか220法人(25年度時点集計)、33年度でも1636法人(同)で、結局は全体の1割もカバーできない。

 この着地点について、厚労省は「監査費用の負担や会計士の人員確保の問題から、全法人への義務づけは現実的ではない」と説明している。

会計士側には期待感も

 一方、会計士側からすれば業務の拡大につながるため、関心は高い。最大手の新日本監査法人は、社福法人を専門的に扱ってきたチームを中心に社内教育に注力。経験値の高さを売りに、今年度対象となった法人の1割強と契約を結ぶことが決まったという。

 日本公認会計士協会も、社福特有の会計上の規制などについて研修や情報提供を通じて後方支援を進めてきた。同協会が示した実務指針では、監査業務だけにとどまることなく「法人運営の課題と認識した事項について指摘し、改善を促すために助言を行うことが期待される」と社会的な要請にも言及した。

 同協会の山田治彦副会長は「財務情報の信頼性の確保が第一」とした上で「最終的にガバナンス強化や経営の透明性の向上に資することが社会の期待。それを強く自覚するよう会員に求めている」と強調した。

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