監査法人 長隆事務所

お問い合わせはこちら
CONTACT

お知らせNEWS

       
© 2020 osatakashi & co.

第1回「オンライン監査」の導入

監査法人長隆事務所では、今夏より「オンライン監査」を導入いたしました。
実務にあたる会計士が、数回にわたり「オンライン監査」をテーマにその実態を綴ります。
今回はその第1回目「オンライン監査の導入」です。


第1回 「オンライン監査」の導入

監査法人長隆事務所 委託公認会計士

「今日から、いよいよオンライン監査のスタートか」

私は、そう呟きながら、ZOOMによるオンラインミーティングの開始予定時間に自宅のPCの前に座った。ほとんどすべての監査業務をオンラインで行うこの試みは、コロナ影響下でテレワークが進む外部環境からしても、病院側及び監査人側の監査の効率化と言う内部経営環境の面からも、非常に重要である。しかし、初めての試みであることから、本当にうまくいくのか、例えば、コミュニケーションがうまくとれるのかという問題や、実査や棚卸立会と言った監査実務をどのように行うのか、各勘定科目レベルの監査手続きを実施する際の証憑資料の入手を適切にできるのか、というような様々な課題があるように思った。
私は、上場企業の監査経験は10年以上の経験がありそれなりの自信はあったが、病院に対する会計監査は経験がなく、それも、オンライン監査導入初年度ということで、不安も大きかった。

今日は、オンライン監査を導入するにあたってのシステム的な扱い方の説明とオンラインによる監査人と病院担当者の顔合わせの日であった。病院担当者とオンラインでつなぐ前に、まず監査法人内で病院側の端末への接続方法・遠隔操作の仕方についてレクチャーを受けた。

「すみません。事務所の三上です。繋がってますか?」事務所にいる担当者から呼びかけがある。
「はい。大丈夫です。良く聞こえますし、皆さんの画像も見えてます。」

今日は、事務局のほか、3名の会計士が自宅などからリモートで参加し、操作確認を行っていく予定だ。その後、病院側ともオンラインでつなぎ、挨拶をする予定になっている。

「では、みなさん、よろしくお願いします。これから、お一人お一人、操作がきちんとできるかどうかテストしていきますので、他の方はそのままお待ちください」

まあ、そのままお待ちくださいとは言っても、他の人が操作確認を行っている間は、別にPCの前にいなくてもいいわけだからな、と席を外して、しばし休憩。この辺りもオンライン監査、テレワークの良いところだなぁと思いながら自分の順番を待つ。やがて、自分の番が来て、操作の説明を受ける。
オンライン監査では、基本的に遠隔で病院側のPCを完全に操作できるようだ。そのことに感動しつつ、向こうは急に遠隔操作されたら、勝手にPCの画面が動き出すわけだから驚くだろうなぁと思った。
一通り操作説明が終わると、

「では、今から、病院の担当の方を呼び出します。」

と事務局の三上さん。
監査事務所、各会計士の自宅、病院がオンラインでつながり、挨拶とともに監査の概要などについて主査から説明があった。基本的に帳簿や明細はすべてリモート操作により出力・加工できるので、病院の担当者の負担が大きく減るということ、必要な資料があった場合も、基本的にはチャットなどで依頼をするので、そのときやっている業務を中断する必要がなく、往査する監査に比べて、ストレスが少ないはずだということ、などが確認された。
その通りだとは思うが、今回は初回なので、初めてやるやり方というストレスはあるよなぁと思いながら、その日は、会議を終了した。来週から、実際にリモートによるオンライン監査がスタートする。

翌週、オンライン監査がスタートした。私の担当は、棚卸資産、固定資産、買掛金、未払金あたりだ。収益などの担当ではないので、少し気が楽ではある。
先週、操作説明を受けたとおりにログインして遠隔で病院側のPCを操作する。病院の使っている会計ソフトになれるのに少し時間を要したが、これは楽だ。病院の帳簿を直接見ることができるというのは、クラウドを利用した会計ソフトと同じだが、それ以上に、向こうの(病院側の)PCを直接操作できるので、データの加工や編集もそのままできる。それを病院側の担当者に依頼することなく自分で好きなようにできるので、欲しいデータをストレスなく入手できる。

「これは、画期的だな。。。」

思わず呟いて、データを自分のPCに転送する。
固定資産は実査をすることになっているが、どうするかというと、これもオンラインで行う。固定資産の画像を写メしてもらって、該当するフォルダに格納してもらうのだ。
「まあ、一応、わかるかな」と思いながら、画像を確認する。今回は、わかりやすい物件が多かったので、写メで特に問題は発生しなかったが、写メではわかりにくい物件もあるだろうから、改善できる部分はあるかもしれないな、と思いながら、調書をまとめる。
帳簿残高と突合する外部証憑については、こちらで見たい証憑を依頼して、病院側の担当者にPDFにしてもらって、それを拝見する形を取った。ゆくゆくは、外部証憑はすべてPDFなどの電子データにして、帳簿に関連づけて保存するのが良いのだろうな、と考えた。総勘定元帳に関連証憑が紐づけされていて、クリック一つでその証憑を見られれば、証憑を依頼する必要さえもなくなる。そうなる日は、間違いなく来るだろうと思いながら、リモートによるオンライン監査を続けるのであった。
監査する側からも病院側からも、監査の効率的実施に資するものだということが肌で感じられるスタートだった。

TOPへ