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第3回 オンライン監査を実施した感想

監査法人長隆事務所では、今夏より「オンライン監査」を導入いたしました。
実務にあたる会計士が「オンライン監査」をテーマにその実態を綴ります。


第3回 オンライン監査を実施した感想

監査法人長隆事務所 公認会計士 森本 明浩

1.働き方の変化とオンライン監査

近年は働き方改革が進んでおり、一定の成果が出始めているように感じていたが、コロナ禍によりその流れが加速しているように思う。さまざまな業界で、在宅勤務やワーケーションなどが広がりを見せており、インターネットの接続環境さえあれば、いつでもどこでも自分のライフスタイルに合わせて仕事ができる環境が整いつつある。
このような状況の中で、監査業務においてもオンライン監査が導入され、自分の好きな場所で仕事ができるようになってきている。私は近畿地方の在住であるが、オンライン監査が導入されたことで、関東地方や九州地方の法人の監査にも従事できるようになり、仕事の幅が広がったと感じている。

2.在宅でオンライン監査を実施した感想

先日、WEB会議システムを使って、在宅で内部統制の整備状況についてインタビューを行った。初めての経験であったため、最初は作業の進め方に戸惑うこともあったが、徐々に感覚を掴んできて、最後にはこれまでの対面でのインタビューとあまり変わりなく行うことができたように思う。WEB会議システムでインタビューを行う場合、対面でのインタビュー以上に、どの資料の話をしているのか、どの業務の話をしているのかを画面共有機能をうまく使うことにより明確にする必要があるように感じた。
今回のオンライン監査では複数のインタビュー対象者が一つの拠点から参加していたが、インタビュー対象者が多拠点に分かれている場合や、在宅勤務を行っている場合には、WEB会議システムが大いに役立つように思う。

ただし、期中の会計監査では、内部統制の運用評価手続や実証手続において、多くの資料の提示を依頼することもあり、オンライン監査を行う場合には、多くの紙資料をPDFで提示いただくことが必要になる可能性がある。これがクライアントにとって過度な負担となる場合には、少数の担当者が一日程度訪問して、現物の紙資料を確認してくるほうが効率的な場合もあるので、この辺りは臨機応変に対応することが求められるように思う。

なお、インタビューした結果を監査調書に落とし込む作業にあたっては、在宅だと自分にあったセカンドモニタを利用でき、かつ、自分にとって快適な環境で作業ができるため、クライアント先で作業するよりも効率的に作業ができた。

オンライン監査の導入は、サービスを提供する会計監査人側だけでなく、サービスの提供を受ける法人側にも大きなメリットがあるように思う。これまでの会計監査は、訪問による作業を前提としていたため、法人の所在する地域の監査法人や公認会計士を会計監査人に選任するケースが多かったように思うが、オンラインでも作業ができるのであれば、必ずしも近くの公認会計士等を会計監査人に選任する必要はなく、高品質なサービスを提供してくれる遠方の公認会計士等を会計監査人に選任することも可能になる。
また、これまでのように会計監査人の訪問に合わせて会議室を準備することや、質問や追加の資料依頼に終日備えておくことが必要なくなる点も法人側のメリットではないかと思う。

3.最後に

オンライン監査は、政府が進める働き方改革への対応や、コロナ禍での接触機会減少及び人の移動制限への対応など、社会課題の解決方法として優れたものだと思う。将来的に、請求書や契約書等の電子保存が進むと、社会からのオンライン監査へのニーズはより高まるだろう。
会計監査を行うにあたっては、監査リスクに応じて現物を確認しなければならないものや、現物を確認したほうが信用力の高い監査証拠を入手できる場合もあるので、オンラインでの監査と訪問による監査を組み合わせることで、これまでの訪問を前提とした監査よりも効率的かつ効果的な会計監査を実現できるようになると思う。

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