監査法人 長隆事務所

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第3回 医療機関に対する厚生局の指導・適時調査とは(2)

 今回は厚生局の行う適時調査の実施方法などについてお話します。施設基準などを届け出た保険医療機関に対して、その実施状況などを確認するために行われる調査ですので、実施方法などを理解することは守りの視点のひとつとして重要です。

 適時調査は、届出された内容や現況が基準を満たすかどうかについて、人員・施設・設備・各種帳簿類などの状況を確認します。届出の内容と異なる事情等がある場合には、届出の受理の変更を行うなど運用の適正を期するものとされています。その実施方法などについて「適時調査実施要領」が定められており厚生労働省が公開しています。具体的な実施方法等に関しては、平成28年度から全国標準処理とされ、事前提出書類、当日準備書類、調査書、調査手順などが統一されました。

 適時調査の実施時間は、3時間程度(午前又は午後の半日程度)で調査を行う担当官は3人が標準とされています。実施頻度は、都道府県内の病院数により1~3年間隔とされています。原則として年1回、都道府県内の病院数が150以上300未満の場合は2年に1巡、300以上の場合は3年に1巡を目途とされています。

 実施通知が調査日の1か月前に送付され、調査日の10日前までに事前提出書類を求められます。事前提出書類は、①保険医療機関の現況②入院基本料等の施設基準に係る届出書添付書類(様式9)及び勤務実績表等の看護要員の病棟配置状況等が確認できる書類③別途定める事前提出書類④その他必要に応じた書類、とされており、各様式が厚生局のホームページに掲載されています。なお、提出日の前月の状況により作成することとされていますので注意が必要です。 

 当日準備書類に関しては、それぞれ具体的な書類が定められており、厚生労働省のホームページに掲載されていますので、事前に不備等がないよう十分な点検と確認を行いましょう。

 施設基準については、入院基本料等の「重点施設基準」と「その他施設基準」に区分されて適否を記載する調査書が定められています。各調査書は、必ず確認する「重点確認事項」と必要に応じて確認する「重点確認事項以外の確認事項」に区分されています。これら調査書も厚生労働省のホームページに公表されています。

 調査当日の調査手順は、①調査の目的・調査手順の説明②院内視察③関係書類に基づく調査④調査書の運用等⑤調査結果のとりまとめ⑥調査結果の伝達(講評)、とされています。調査の結果、施設基準を満たしていないことが認められると診療報酬の過請求が指摘され多額の返還金が求められることがあります。

 施設基準は届出制であり、保険医療機関が自ら施設基準を満たしているとして届出を行い診療報酬の加算を得ているものです。ルールである施設基準の取り扱いを正しく理解して遵守することは当然のことであり、適時調査の結果、返還金が求められることは不正とみなされる恐れもあります。日常から施設基準の取り扱いを正しく理解する努力を惜しまず、調査書を参考にするなど自己点検を励行しましょう。適時調査は、1か月前に実施通知が送付されることから、事前に必ず当日準備書類を点検確認して整備するとともに調査書の確認事項を担当する病院職員が理解しておくことが必須です。厚生局の担当官は、準備書類の内容や病院職員の言動から施設基準の理解度などの判断材料とすることがあります。

 適時調査は、厚生局の施設基準などの定期的な確認の機会です。調査事項は、整っていることが前提です。不備等があってはならないのです。適時調査に関する事前提出書類、当日準備書類、調査書、調査手順など、全て公表されていますので、日頃の体制に少しでも不安があるならば、これらを活用して自発的に模擬適時調査などを行い事前に点検確認することが有効です。

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