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第5回 令和6年度診療報酬改定に向けて
- 2023.11.01
- 《連載》保険診療監査官の部屋
来年度、診療報酬改定が予定されています。個別の診療報酬の算定要件や施設基準の見直しも行われます。現在、見直しは、社会保障審議会及び中央社会保険医療協議会において審議されており、審議の資料や議事録が厚生労働省のホームページで公表されています。来年度の診療報酬改定に向けて、早期に見直しの情報を得て分析・検討を行い、自らの診療報酬請求に積極的に反映させることは「攻めの視点」として有効なことです。今回は、公表されている令和6年度診療報酬改定の論点等をピックアップしてお知らせしますので、しっかりと確認しましょう。
診療報酬改定は、予算編成過程を通じて内閣が決定した改定率を所与の前提として、社会保障審議会医療保険部会・医療部会において策定された「基本方針」に基づき、中央社会保険医療協議会において、具体的な診療報酬点数の設定等に係る審議を行い実施されるものです。
中央社会保険医療協議会における個別事案の議論のうち、外来、入院及び在宅に関する論点を紹介します。
外来については次のとおりとされています。
・ 中長期的に地域の医療供給体制が人口減少や高齢化等に直面する中、令和5年の医療法改正を踏まえたかかりつけ医機能の強化等や外来機能の明確化・連携を推進し、患者にとって安心・安全で質の高い外来医療の提供を実現するための、診療報酬のあり方について、今後の医療DXの推進も踏まえ、どのように考えるか。
・ 生活習慣病対策、外来機能の分化を推進していく観点から、効果的・効率的な医療を提供するための、診療報酬のあり方についてどのように考えるか。
・ 前回改定を踏まえ、今後のオンライン診療の適切な評価についてどのように考えるか。
入院については次のとおりとされています。
・ 急性期入院医療について、高齢者の救急搬送件数の増加等を踏まえ、急性期病棟と地域包括ケア病棟に求める役割・機能について及びこれらの機能分化を促進し、個々の患者の状態に応じた適切な医療資源が投入される効率的かつ質の高い入院医療の提供を推進するための評価のあり方についてどのように考えるか。
・ 回復期入院医療について、在宅患者等に対する救急医療を含め、地域包括ケア病棟に求められる役割やその評価のあり方及び回復期リハビリテーション病棟における質の高いリハビリテーションを推進するための評価のあり方についてどのように考えるか。
・ 慢性期入院医療について、療養病床に係る医療法施行規則における看護師等の員数等についての経過措置が終了すること等を踏まえ、長期にわたり療養が必要な患者に対する適切な入院医療の評価のあり方についてどのように考えるか。
在宅については次のとおりとされています。
・ 今後、在宅医療の需要が大幅に増加することが見込まれる中、疾患や障害の有無にかかわらず、住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるように地域包括ケアシステムを推進する観点から、在宅医療の提供体制について、どのように考えるか。
・ その中で、在宅療養患者の急変時に適切に対応するための情報共有や連携を充実させるためには、どのような方策が考えられるか。
・ 本人・家族の希望に沿った医療・ケアの促進について、どのように考えるか。
令和5年4月から、論点等に関して議論が行われ、これまでの議論の内容及び意見の整理を踏まえ、さらに議論を行っていくとされています。現時点ではまだこれらの情報しかありませんが、12月頃には具体的な改定の「基本方針」が示されると思われます。
施設基準に関するこれまでの改定では、医療有資格者などの人の配置が求められるものがいくつもあったことから、次回もそのようなものが盛り込まれる可能性は大いにあるものと思われます。また、施設基準には1か月間の配置実績を求められるものもあります。これらのことを鑑みますと、来年4月の新規採用も見据えて、来年度の人員予算確保などに間に合わせられるように事前情報をいかに早くキャッチして、必要な人員の確保や不足分の採用などが出来るかが、新しい点数の算定に結びつける重要なポイントになります。
有効に「攻めの視点」として診療報酬請求に活用するためには、これまでの議論を再確認するととともに、より一層、今後の議論を注視して早め早めに対策を講じていく必要があると考えます。
なお、施行時期を令和6年度診療報酬改定から6月1日施行とすることとして、薬価改定の施行に関しては例年通り4月1日に改定することとされていますのでご注意願います。